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玉田 正男
トコトンやさしいイオン交換の本, p.130 - 131, 2013/06
1トンの海水には、3.3mgのウランが含まれている。非常に低い濃度であるが、地球上の全海水の体積を掛け合せると、ウラン資源の総量は45億トンとなり、利用可能な鉱石中のウラン量の約千倍に匹敵する。海水中のウランの吸着にはアミドキシム基が最も期待できる官能基であり、基材に接ぎ木のようにアミドキシム基を導入できる放射線グラフト重合法がウラン捕集材の合成に適している。青森県むつ関根浜の沖合海域で、1kgのウラン(イエローケーキ換算)の捕集実験に成功しているが、実現可能な捕集コストを目指すため、モール形状の捕集材が開発された。モール状捕集材は沖縄県恩納村の沖合で捕集性能が試され、30日間で捕集材1kgあたり約1.5gのウランが回収できた。海水から回収できるウランのコストと鉱山から採取されるウランコストには大きな隔たりはなくなりつつあり、海水中の金属資源の捕集技術の実用化が期待されている。